[No.109]Microsoftは生成AIに関する最新技術を発表、アシスタント「Copilot」を全製品に搭載、提携企業はアプリ呼び出し機能「Plugins」で独自の生成AIサービスを提供

Microsoftは今週、開発者会議「Microsoft Build」を開催し、生成AIの最新技術を発表した。
Microsoftは「ChatGPT」を基本ソフトに実装した。

これは「Windows Copilot」と呼ばれ、言葉の指示に従って基本ソフトを操作する。

また、パートナー企業はアプリ呼び出し機能「Plugins」を使って、独自の生成AIサービスを提供する。

更に、Microsoftはクラウドで生成AIを開発する環境「Azure AI Studio」を提供する。

今年の開発者会議は生成AIがメインテーマで、最新の開発成果が公開された。

出典: Microsoft

ChatGPTに検索機能を統合

Microsoftは検索サービス「Bing」にChatGPTを統合したが、今回はこれとは逆に、ChatGPTを使うときのインターフェイスとして「Bing」を提供する。

対話しながらChatGPTを使うが、その時に、これをBingのインターフェイスで実行する(下の写真)。

これにより、ChatGPTは最新データで教育され、最新の話題に対応する。

また、ChatGPTが回答した根拠となるデータを示す機能(Grounding)が取り入れられた。

出典: Microsoft

Windows Copilot

Microsoftは基本ソフト「Windows 11」にChatGPTを搭載し、会話を通してソフトウェアの機能を利用できるようになった。

これは「Windows Copilot」と呼ばれ、基本ソフトのアシスタントとなる。
初期画面の「Copilot」アイコンで起動し、画面右側のペインで会話する(下の写真)。

出典: Microsoft

「Copilot」は「副操縦士」を意味し、利用者の言葉での指示に従ってタスクを実行する。

例えば、画面右側のペインで、「仕事をしやすいようにシステムを最適化して」と入力すると、Copilotはこの要請に応え、「Focus Mode」や「Dark Mode」のオプションを示す。

「Dark Mode」を選択すると、画面が黒色のモードになり(下の写真)、仕事に集中できる環境となる。

出典: Microsoft

ChatGPTのプラグイン

MicrosoftはChatGPTの「Plugins(プラグイン)」を拡張し、OpenAIとMicrosoft間で互換性を取る仕組みを導入した。

Pluginsとは別のソフトウェアを呼び出す仕組みで、OpenAIは既に「ChatGPT Plugins」を発表している。

ChatGPTのアプリストアでPluginsをダウンロードして利用する。

例えば、「サンフランシスコでレストランを予約して」と指示すると(下の写真左側)、「OpenTable」というPluginが起動し、このタスクを実行する(右側)。

OpenTableはChatGPTでこのタスクを実行し、プラグインでこれを呼び出す仕組みとなる。

出典: Microsoft

Bing向けのプラグイン

これに対し、Microsoftは検索エンジン向けのプラグイン「Plugins for Bing」を発表しており、開発者会議ではそのデモが実施された(下の写真)。

Bingの初期画面には「Plugins」のリストが表示され、利用するプラグインを選択する。

出典: Microsoft

このプラグインを使うと、検索エンジンで高度なタスクを実行することができる。

例えば、不動産の検索で「Zillow」というプラグインを使うと、指示した条件で物件を探すことができる。

例えば、「シカゴで、徒歩でレストランに行け、100万ドル以下」と指定すると、この条件に適合した物件をリストする(下の写真)。

この背後で、ChatGPTを組み込んだZillowのAIモデルが稼働している。

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生成AI開発クラウド

Microsoftは企業が最新技術を使ってAIモデルを生成するためのクラウドサービス「Azure AI Studio」を発表した。

AI Studioは大規模言語モデルを使って、企業が独自の生成AIを構築するための環境となる(下の写真)。

OpenAIの他に多種類のオープンソース言語モデルが提供され、これらを企業が保有しているデータとリンクし、ビジネスに特化した生成AIを開発する。

出典: Microsoft

責任あるAI開発

AI Studioは企業が責任あるAIを開発するためのツールを提供する。

これは「Azure AI Safety」と呼ばれ、開発したAIモデルが倫理的に稼働することを検証するためのツールとなる。

この中で、コンテンツを検証する機能「AI Content Safety」は、AIモデルが生成する文章が暴力や自害やヘイトに関する言葉を含んでいないかどうかを検証する(下の写真)。

出典: Microsoft

エコシステムの拡大

Microsoftは開発者会議で生成AIに関するエコシステムを拡大している姿勢をアピールした。

プラグイン「Plugins」は別のアプリを呼び出す仕組みで、検索エンジン「Bing」から他社が開発した生成AIサービスを起動する。

また、企業は生成AIクラウド「Azure AI Studio」で、ChatGPTなどを統合した生成AIを手軽に開発できる。

Microsoftは、ChatGPTはApple iPhoneに次ぐイノベーションと位置付け、製品開発を加速している。