[No.243]Nvidiaはオープンソース自動運転技術「Alpamayo」を投入、AI推論機能を搭載しクルマの知能が劇的に向上、停滞しているロボタクシー開発が急進するか
NvidiaのCEOであるJensen HuangはCES 2026の基調講演でAI技術の最新情報を公開した(下の写真)。
講演のハイライトはロボティックスで、Nvidiaはヒューマノイド・ロボットと自動運転車を開発するための最新のプラットフォームを投入した。
ロボットと自動運転車は共通項が多く、AIフロンティアモデルの推論機能を搭載することでインテリジェンスが格段に向上した。Nvidiaは自動運転車開発フレームワーク「Alpamayo」を開発し、これをオープンソースとしてリリースした。
メルセデス・ベンツなどの自動車メーカーはこれをベースに開発を開始し、今年は多彩な製品が登場することになる。

自動運転技術「Alpamayo」
自動運転フレームワーク「Alpamayo」は画期的な技術で、ヒューマノイド・ロボットの技法をクルマに適用した構造となる。
クルマはカメラが捉えた映像を入力とし、これを解析することでシーンの意味を理解し、次のトラジェクトリ(進路)を出力する(下の写真)。つまり、クルマはカメラの映像から、人間のように状況を把握し、これをステアリングやブレーキ操作などの機械命令に変換する。
特に、Alpamayoは高額なレーザーセンサー(Lidar)を使うことなく、カメラだけで自動走行できることが最大の利点となる。

VLAモデル
この手法は「VLA (Vision-Language-Action)」モデルと呼ばれ、ビジョン(カメラの映像)と言語(人間の命令)をAIモデルが考察し、アクション(デバイスを操作する機械命令)を生成する仕組みとなる。
これはロボット開発のコア技術でVLAモデルがロボットのブレインを構築する(下のグラフィックス)。
Nvidiaはこの手法をクルマに適用し、自動運転技術のインテリジェンスが高度に進化した。

AlpamayoのVLAモデル
AlpamayoのVLAモデルはカメラの映像や人間の指示を入力とし、ドライビングにおける判断を下す(Driving Decision)システムとなる(下の写真)。
このモデルの特徴は、AIの推論機能により、判断した理由(Causal Reasoning、因果推論)を説明する機能が搭載されたことにある。従来の自動運転車のアルゴリズムはブラックボックスで、クルマの挙動を理解することができなかった。
AlpamayoのVLAモデルはアルゴリズムが下した判断の根拠を出力し、クルマの挙動を理解できるようになった。

因果推論(Causal Reasoning)とは
VLAモデルを実装したことでクルマはシーンを解析して因果推論(Causal Reasoning)を実行する。
因果推論とは、原因とそれによって生じる事象を推定する機能で、クルマが特定の事象からそれに続く事象を推測することができる。
例えば、走行中に歩道からボールが転がってきたら、AIモデルは「ボールを追って子供やペットが飛び出す可能性があり」と次の事象を推論する(下の写真)。
更に、AIモデルは「速度を落とし停車できる準備をすること」と、次に取るべきアクションを出力する。

システム構成
Alpamayoはオープンソースの自動運転車開発のプラットフォームで、メーカーはこのモデルを最適化することで独自の製品を開発する。
AlpamayoはAIモデル、シミュレーション環境、データセットから構成され、インテリジェントな自動運転技術を開発するスタックとなる:
- AIモデル「Alpamayo 1」:AIフロンティアモデル、100億のパラメータ、思考の連鎖など高度な推論機能
- シミュレーション環境「AlpaSim」:クルマのシミュレーション環境、アルゴリズム教育などで利用、異なるシーンを生成し多彩な条件で試験を実行(下の写真)
- データセット「Physical AI Open Datasets」:1,700時間に及ぶ路上走行試験のデータを格納、システムの教育に活用

メルセデス・ベンツに搭載
Alpamayoはメルセデス・ベンツ「Mercedes-Benz CLA」に搭載され、「レベル2++」の自動運転技術を実現した(下の写真)。
これは高度な運転支援システムで、市街地を自律的に走行する。実際にNvidiaはMercedes-Benz CLAがサンフランシスコ市街地をドライバーの介入無く走行するデモを示した。
込み合った道路を長時間にわたりクルマが自動で走行し、その完成度の高さを示した。メルセデス・ベンツはAlpamayoをベースに完全自動運転車を開発する。
また、Uber、Jaguar Land Rover、Lucid MotorsがAlpamayoをベースとする自動運転車を開発している。

今年の主役はロボット
Nvidiaの基調講演はロボットが主役でヒューマノイド・ロボットからショベルカーまで多彩な形状のモデルが登場した(下の写真)。
Nvidiaは自動運転車を含めロボットの開発環境をオープンソースとして公開しており、メーカーはこれを無償で利用し独自の製品を開発する。
Nvidiaのビジネスモデルはプロセッサやサービスを有償で販売することで、エコシステムの拡大が重要な戦略となる。
特にAlpamayoは高度に知的なモデルで、停滞している自動運転車の開発が一挙に進み、今年は多彩な製品が生まれると期待される。


