[No.19] Googleは監視カメラ最新モデルを発表、カメラにAIチップを搭載し検知精度が向上、エッジAIへの流れが加速
Googleは監視カメラ「Nest Cam」とドアベル「Nest Doorbell」の最新モデルを発表した。
カメラはAIチップを搭載し、画像解析処理をデバイス上で実行する。クラウドを介すことなく、デバイス上で機械学習を実行でき、高精度で不審者などのオブジェクトを検知する。
Googleはスマホ最新モデルPixel 6に続き、スマートホーム製品でもエッジAIを採用し、デバイスのAI処理性能を大幅に向上した。
Nest CamとNest Doorbell
Googleはスマートホーム製品を「Nest」のブランドで提供しており、監視カメラ「Nest Cam」とドアベル「Nest Doorbell」の最新モデルを開発した。
Nest Camは二機種あり、屋外・屋内モデル(上の写真、右端)と屋内モデル(中央)で、前者はバッテリーで稼働する。
ドアベル(左側)もバッテリーで稼働し、配線は不要で簡単に設置できることが特徴となる。
デザインも一新され、シンプルで背景に調和する色調や形状となった。
監視カメラ
Nest CamとNest Doorbellはカメラが捉えた映像をAIで解析してイベントを検知する構成となる。
Nest Camは家屋の外壁などに取り付けて利用する(下の写真右側)。
Nest CamのAIはオブジェクトの種別を判定し、人や動物やクルマを検知すると(左側)、それをアラートとして利用者のスマホに送信する(中央)。
外出先からでも自宅のセキュリティを確認することができる。
ドアベル
Nest Doorbellはドアベルであるがカメラを搭載しており、監視カメラとして機能する(下の写真中央)。
Nest Doorbellは人の動きを検知し、訪問者があると、それをアラートとして利用者のスマホに送信する(左側)。
利用者はアプリで訪問者を確認し、マイクボタンを押すとそのまま会話することができる。また、オンラインショッピングで商品が配送されるとそれを認識し(右側)、利用者に通知する。
AIスピーカーとの連携
Googleは監視カメラやドアベルをスマートホームの主要製品と位置付け、AIスピーカーとの連携を強化している。
米国の家庭でAIスピーカーの導入が進んでいるが、Googleは「Nest Mini」(下の写真左端)や「Nest Hub」(右端)を提供している。
Nest Hubはディスプレイを搭載したAIスピーカーで、監視カメラやドアベルがイベントを検知すると、カメラの映像がストリーミングされる。訪問者をディスプレイで確認してドアを開けるなどの応対ができる。
Tensorチップ
Nest CamとNest DoorbellはAIチップ「Tensor Processor(TPU)」を搭載しており、カメラの映像をデバイス上で解析する。
従来はカメラの映像をクラウドに送付して解析していたが、これをデバイス上で処理することで性能アップを達成した。
具体的には、Nest CamとNest Doorbellは現行製品と比較して、二倍のピクセルとフレームを処理することができ、判定精度が大きく向上した。
GoogleはエッジAIの開発を進め、先週発表されたPixel 6に続き、NestでもAIチップをデバイスに搭載する構成を取る。GoogleはIoTデバイス向けのAIチップを「Edge TPU」として販売している(下の写真)。
実際に使ってみてみると
実際に、Nest Doorbellの現行モデルを使っているが、玄関先のセキュリティが強化され、安心感が大幅に向上した。
使い方はシンプルで、スマホアプリ「Nest」からドアベルが捉えた玄関先のビデオを見ることができる(下の写真左端)。
また、来客があると、アラートをスマホで受信する。更に、商品が宅配されたとき、AIはそのイベントを把握し、スマホにメッセージを送信する(中央最上段)。
玄関先に置かれた商品を手早く取り上げることで盗難被害を防ぐことができる。
クラウドに映像を記録
撮影されたビデオはクラウド「Nest Aware」に記録され、これを検索することで特定のイベント(商品配送など)を再生できる(上の写真右端)。
一方、木の陰などをイベントとして捉え、アラートを受け取ることがあり、判定精度が課題であるとも感じる。
最新モデルはAIチップが搭載され、画像解析の判定精度が上がり、誤検知が減ると期待される。
AIドアベルが人気商品
いま米国でAI監視カメラの導入が進んでいる。
特に、AIドアベルの人気が高く、多くの家庭がセキュリティ強化のために設置している。
Googleからは上述のNest Doorbellが出荷されている。また、Amazonからは「Ring Doorbell」が提供され、両者が人気商品で市場を二分している。
これらは、宅配商品の盗難を防ぐために、また、自宅前のイベントを監視するために使われている。
GoogleはドアベルのAI性能を向上することでAmazonとの差別化を図っている。