[No.141]OpenAIはGPTのアップストアを開設、カスタムChatGPTの購入や販売が始まる、企業は生成AIをビジネスに統合する流れを加速
OpenAIは1月10日、GPTのアップストア「GPT Store」の運用を開始した(下の写真)。
GPTとは用途に特化した専用のChatGPTで、生成AIのアプリケーションとして位置付けられる。Appleの「App Store」でiPhoneアプリを購入するように、GPT StoreでChatGPTアプリを利用する。
既に300万件のChatGPTアプリが掲載されており、生成AIのエコシステムが急成長している。また、企業はChatGPTをビジネスに適用する取り組みを加速している。
GPTとは
ChatGPTに対して、「GPT」はカスタムバージョンのChatGPTで、昨年11月にOpenAIの開発者会議で公開された。
通常のChatGPTはインターネットの情報で教育され、多彩な知識を持ち、指示されたタスクを幅広く実行する。
しかし、企業や消費者は独自のタスクに特化したカスタムChatGPTを求めており、この解がGPTで、独自のスキルと知識を持ち特定分野で威力を発揮する。
GPTの販売が始まる
GPT Storeには多くのGPTが掲載されており、ここでアプリを購入し、それをスマホやPCで実行する仕組みとなる。
GPT Storeは分野ごとに区分され、多彩なカスタムChatGPTが掲載されている:
- Featured / Trending:人気のアプリ
- DALL·E:イメージ生成アプリ
- Writing:文章作成で品質を向上するアプリ
- Productivity:ビジネスの生産性向上アプリ
- Research & Analysis:研究や解析のためのツール
- Programming:コーディング支援アプリ
- Education:生徒や教師向けの教育支援ツール
- Lifestyle:日常生活を支援するアプリ
人気のGPTは
GPT Storeには、消費者向けのアプリの他に、企業や研究者向けのツールが幅広く掲載されている。
また、アプリの人気ランキングが公開され、注目を集めているGPTが分かる(下の写真)。
人気アプリConsensusとは
一番人気のアプリは「Consensus」で、研究や解析のためのツールとし、開発者の活動を支援する。
Consensusは2億件の学術論文で教育され、研究成果に特化したChatGPTとなる。研究者の質問に、ChatGPTは過去の論文を引用して回答する。
例えば、大規模言語モデルの研究で「Transformers」の論文を引用しているものを尋ねると、ChatGPTはそれを的確に回答する(下の写真)。
イメージを生成するアプリ
GPTはイメージ生成技術「DALL·E」とリンクしており、言葉の指示に従って、多彩なグラフィックスを生成する。
人気アプリ「Logo Creator」は対話形式で会社のロゴを生成する。例えば、アイスクリームショップは好みのデザインを反映したロゴを簡単に生成できる。
GPTと対話しながら、色やトーンやメッセージなどを指示すると(下の写真左側)、DALL·Eはそれに沿ったロゴを制作する(右側)。
消費者向けのアプリ
GPT Storeには消費者向けのアプリが数多く掲載されている。
その中で人気のGPTが「AllTrails」で、ハイキングのコースを教えてくれる。対象とする地域を指定し、コースの難度などを対話形式で入力すると(下の写真左側)、最適なコースを出力する(右側)。
GoogleやChatGPTで検索することもできるが、GPTはズバリ回答を示すので使って便利と感じる。
企業向けのGPT運用環境
OpenAIは「Assistants API」などGPTを開発する環境を公開しており、企業はここで簡単に、専用のChatGPTアプリを開発できる。
更に、企業は開発したGPTを一般に公開することなく、社内で安全に運用できる環境が提供された。これは「Team」と呼ばれ、ChatGPTとGPTを社内でセキュアに運用できる環境となる。
ここで企業は業務に特化したGPTを開発し、社内データを統合し、機密情報がリークすることなく安全に利用できる。
企業は生成AIの導入を加速
これに先立ちOpenAIは、企業向けのChatGPTサービス「Enterprise」を投入しており、「Team」と合わせ、企業向けの生成AIの開発と運用の環境が拡充された。
既に、260社が「Enterprise」のユーザであるとされ、企業が業務にChatGPTを導入する流れが加速している。
企業内でビジネスに特化したGPTを開発し、これを安全に運用する環境が提供され、企業が生成AIをビジネスに適用するトレンドが鮮明になった。