[No.14] AIに評価され解雇される日が到来!!Amazonは契約社員の人事評価を人間を介さずアルゴリズムで自動化
Amazonは契約社員の人事評価から解雇まで一連のプロセスをAIで実行する。
人間が関わることなく、アルゴリズムが人事を担う。
契約社員の数は400万人ともいわれ、Amazonは人間が手作業で管理することは不可能で、AIの導入が必須としている。
一方、契約社員は、突然AIからメールを受信し、解雇を通告される。ソフトウェアに首を切られることは屈辱であるが、米国でAIによる人事管理が急速に広がっている。
Amazon Flexとは
Amazonの契約社員は「Amazon Flex」と呼ばれ、オンデマンドで柔軟に勤務することができ(上の写真)、その数が増えている。
Amazonはこれらの社員をAIで管理する方式を取っている。
契約社員は、時間が空いている時に、Amazonの商品を配送する運転手として勤務する。
Uberのドライバーのように、自分のクルマを使って商品を配送する。
正社員や運送企業に加え、Amazon Flexがラストマイルを支えている。
オンデマンドで勤務
Amazon Flexは配送の全てのプロセスを専用アプリで実行する。
契約社員は空き時間に仕事を申し込む。
時間帯ごとに配送地区が示され、希望のスロットを選ぶ (下の写真左側)。
次に、商品を積み込む配送センターが示され(中央)、ここに出向きそれらをクルマに搭載する。スマホに、配送先の住所とルートが示され、これに従って配送する(右側)。
AIが勤務状態を管理
業務は3時間のスロットで区分けされ、40件程度をこなし、時給は18ドルから25ドル。
仕事は指示されたスケジュール通り商品を配送したかで評価される。
また、消費者の指示にそって配送できたかも評価の対象となる。
例えば、盗難防止のために、玄関の鉢植えの背後に商品を置くよう指示するケースが多い。
AIは商品が配送された時間や消費者のフィードバックを元に勤務を評価し、その結果が契約社員に伝えられる。(下の写真:配送スタッフが商品を届ける(左側)。
Amazonから確かに配送したことを示す写真が送られ(中央)、パッケージを受領したら配送に関するフィードバックを送る手順となる(右側)。これらのデータで社員の勤務評価が決まる。)
AIに解雇される事例
仕事の評価が低く契約社員がAIに解雇される事例は少なくない。
Bloombergなどの報道によると、契約社員が時間通りに商品を配送できていないとして、AIは雇用を継続することが難しいと判断し解雇を通告する。
解雇通告は人間ではなく、AIが契約社員にメールを送信し、評価結果を説明し、解雇を告げる。
解雇が不当である場合は、契約社員はその理由を申し立てることができるが、判定を覆すことは難しい。
Amazonの作戦
Amazon Flexアプリは世界で400万人がダウンロードし、米国だけでも290万人が使っている。
Amazonは、大量の契約社員を管理するにはAIの導入が必須で、社員の勤務評価から解雇まで、一連の人事プロセスを自動化する必要があると主張する。
一方、AIで人事管理を自動化するのはこれが初の試みで、Amazonは問題が発生することは事前に予測していた。
社会問題となることは覚悟の上で、問題が発生した都度ソフトウェアを改良し、公正に人事管理ができるシステムの構築を進めている。
ホワイトカラーに広がる
米国で社員の仕事ぶりをAIで管理する動きが広がっている。
対象は商品配送の契約社員に留まらず、定型業務における人事管理にAIが導入されている。
コールセンターのオペレータの業務内容をAIで評価する。また、コロナが終息すると企業はハイブリッド勤務に移行し、多くの部分をリモートワークが占めることになる。
顔の見えない社員をどう評価するかの議論が始まり、AI人事評価技術に注目が集まっている。
AIは公平に判定できるか
AIはビッグデータを元に判定を下すが、問題となるのがアルゴリズムの精度である。
銀行ローンをAIが判定するが、性別や人種により判定が偏り、女性が不利になるケースが少なくない。AIが人間の介入なしに社員を解雇するが、この人事評価は正しいのかが問われる。
今の法令では、Amazonはアルゴリズムが公平であることを証明する義務はない。
AIの精度を誰が保証するのか、解決すべき課題は少なくない。
AIに評価される社会
人間の能力をアルゴリズムで評価することに対しては根強い嫌悪感がある。
人間に解雇されるのも苛立たしいが、AIから解雇のメールを受け取ることはなおさらである。
しかし、人事管理におけるAIの役割は広がり、多くの企業はAIで人材採用を始めている。
リモートワークが広がる中、AIとの人事面接で採否が決まるケースは少なくない。
ついに、AIが社員を採用し、仕事ぶりを評価し、解雇する社会が到来した。