[No.13] Googleは小売店舗をニューヨークにオープン、ハードウェア事業を拡充する戦略に舵を切る

Googleは先週、ニューヨークに小売店舗「Google Store」をオープンした(下の写真)。
これはオンライン店舗ではなく街中のストアーで、Googleが提供している情報家電製品を販売する。

ここがショールームとなり、製品を手に取って体験することができる。
米国においては、Googleは多種類のハードウェア製品を販売しており、それを統合的にアピールする狙いもある。

​GoogleはFitbitの買収を完了し、これから本格的にウェアラブル事業を展開する体制が整った。

出典: Google

Google Storeの概要

Google Storeはニューヨーク・チェルシーに開設され、本社ビルの一階を店舗にした構造となっている。
お洒落な街並みの中のストアーで、はす向かいにはApple Storeがある。

Google Storeはスマホ、スマートホーム家電、スマートウォッチ、ノートブックなどを取りそろえている。
製品を買う前にこれらの製品を手に取って試してみることができる(下の写真)。
​また、オンラインストアーで購入した製品を受ける場所ともなる。

出典: Google

製品ラインアップ

Googleは多種類のハードウェア製品を販売しており、店舗は総合展示場としての役割を担っている。
スマホは「Pixel」の名称で販売されている。

スマートホーム製品は「Nest」ブランドに統合され、ここで、AIスピーカー「Nest Audio」、「Nest Mini」、「Nest Hub」を提供する。

このほかに、ストリーミング機器「Chromecast」、ネットワーク機器「Nest Wifi」、AI監視カメラ「Nest Cam」などを販売している。

​更に、スマートウォッチは「Fitbit Sense」や「Fitbit Luxe」などを取り揃えている。(下の写真、Google Storeで販売している製品を展示)

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Sandboxでベンチマーク

店舗内に設けられた部屋で製品を体験することができる。

これは「Sandbox」と呼ばれ、実社会を模した空間で製品の機能や性能をベンチマークできる。
スマートホーム製品を体験する部屋は「Nest Sandbox」と呼ばれ、AIスピーカーに語り掛けてスマートライトなどを操作することができる(下の写真左側)。

​スマホの体験室は「Pixel Sandbox」と呼ばれ、暗い環境で高品質な写真を撮影するなどカメラの性能を試験できる(下の写真右側)。

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講習会スペース

店舗内にはワークショップ会場が儲けられている(下の写真左側)。

ここで、製品の使い方の講習会が開催される。
NestのAIスピーカーを使った料理教室やPixelを使った写真教室などが開催される。

​また、専任スタッフが質問に答え、製品をオンサイトで修理するサービスもある(下の写真右側)。

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持続可能性がコンセプト

Google Storeのコンセプトは持続可能(Sustainability)で、ハイテク製品を使う社会が将来にわたり維持できる構造を取る。

環境問題やエネルギー問題に関わり、ストアーはサステイナブルなデザインとなっている。

この店舗は持続可能性を評価する指標「Leadership in Energy and Environmental Design (LEED)」の最上位レベル(Platinum)に認定された(下の写真左側)。

​また、製品も回収されたプラスチックを再利用するなど、環境に配慮した設計になっている(下の写真右側)。

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ウェアラブル戦略

Googleは開発者会議「Google I/O」でウェアラブル事業を本格的に展開することを表明した。

Googleはウェアラブル向け基本ソフト「Wear OS」を開発し、パートナー企業に提供している。
これら企業はWear OSを搭載したスマートウォッチなどを出荷している。

また、Samsungは独自基本ソフト「Tizen」の開発を中止し、Wear OSを使うことを発表した。
​GoogleはWear OSを核にウェアラブル事業を展開している。

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Fitbit買収が完了

Googleは2019年11月、Fitbitの買収を発表したが、アメリカ司法省による審査が続いていた。

Googleは今年1月、この買収が完了しスマートウォッチの事業を開始することを明らかにした。
これにより、FitbitのハードウェアとGoogleの基本ソフトWear OSを組み合わせ、ウェアラブル事業を本格的に展開できる環境が整った。

Fitbitが収集する身体情報をGoogleのAIで解析し、健康管理のソリューションを開発する。

​Googleはハードウェアに舵を切り、FitbitをベースにApple Watchに対抗する製品の開発を進めている。(上の写真、Google Storeで販売されているFitbit製品)。