[No.93]GoogleはAI開発で非常事態宣言、チャットボット開発で出遅れる、会話モデル「Bard」を発表し先行するChatGPTを追撃
Googleはチャットボット開発でOpenAIに先行され、CEOのSundar Pichaiは非常事態宣言「Code Red」を発表した。
OpenAIが開発したChatGPTは、高度な会話能力を示し、アメリカ社会で爆発的に普及が広がっている。
Googleもチャットボット「LaMDA」を開発したが、APIは公開されておらず、その能力は分かっていない。
Googleは、LaMDAをベースとした最新のチャットボット「Bard」を発表し、逆転を目論んでいる。
チャットボット最新版を発表
Googleは高度なチャットボット「Bard」を公開することを発表した。
これはSundar Pichaiがブログで明らかにしたもので、GoogleはBardを信頼できるユーザに公開する。
また、数週間以内に一般ユーザに公開するとしている。
Googleは社員や信頼できるユーザの評価を参考に、Bardの品質を向上し、安全なチャットボットを開発する。
Bardの構造と機能
Googleは既に、チャットボット「Language Model for Dialogue Applications (LaMDA)」を開発しているが、Bardはこの技術の上に構築される最新モデルとなる。
Bardは製品としてリリースされるのではなく、試験的なチャットボットで、会話AIの機能を評価するために使われる。
Googleの強みは検索エンジンで集約した膨大な知識で、これに言語モデルを融合し、世界の情報を整理する。
Bardは利用者の好奇心を満たすだけでなく、世界で起こっている事象を分かりやすい言葉で説明するとしている。
Bardのインターフェイス
Bardは入力された質問に回答するインターフェイスとなる(下の写真)。
検索カラム(最下段)に質問を入力すると、Bardがその回答を出力する。
「出産前の友人を祝うパーティーを計画せよ」と指示すると、Bardが計画案を出力する。また、「アカデミー賞にノミネートされた二つの映画を比較せよ」と指示すると、Bardはこの回答を示す。
また、「冷蔵庫の中の残り物を使ってランチのメニューを提案して」と問うと、Bardがレシピを回答する。
9歳の子供が理解できる回答
実際に、「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が発見したことを、9歳の子供が理解できる言葉で説明して」と指示すると、Bartは「2023年、JWTSは「グリーンピース」という名前の銀河を発見した。
この名前がついた由来は、銀河の形は緑色の小粒で、食物のグリーンピースに似ているため」と回答する(下の写真)。
Googleは、Bardが出力する内容は安全で、子供たちが安心して利用できることを強調している。
検索エンジンに統合
GoogleはBardを検索エンジンに統合する構想を示している(下の写真)。
検索サービスに組み込まれたBardは、情報を提供するだけでなく、それ生活に役立つ知識に変換して伝える。
例えば、今の検索エンジンは「ピアノの鍵盤の数」という情報を回答するが、Bardは「ピアノを弾くのは難しいか」、また、「ピアノを弾けるようになるまでにどれだけ練習を積む必要があるか」など、生活のノウハウを生成できることに特徴がある。
Bardは知識人のように、ピアノに関し造詣の深い回答を生成する。
吟遊詩人の見習い
Googleのチャットボットは社内では「Bard Apprentice」と呼ばれている。
これは「吟遊詩人の見習い」という意味で、Bardが語り部として修業中であることを示している。
Bardの性能は公開されていないが、ChatGPTが社会の注目を集めている。
この後れを挽回するために、GoogleはBardの開発を最優先課題とし、社員や信頼できる外部機関でトライアルを進め、検証結果をフィードバックしてアルゴリズムを改良している。
AI開発ではGoogleがリードしてきたが、OpenAIなどスタートアップの台頭で、この流れが変わりつつある。