[No.145]Googleは生成AIハイエンドモデル「Gemini Ultra」を公開、GPT-4を超えOpenAIの独走が終わる
Googleは2月8日、生成AIのハイエンドモデル「Gemini Ultra」をリリースした。
OpenAIのGPT-4を上回る性能で、この市場で首位を奪還した。
Googleは昨年12月、Geminiを発表しベンチマーク結果を公表したが、Gemini Ultraはリリースされず、実際にモデルを使うことはできなかった。GoogleはUltraの公開に合わせ、製品体系を一新し名称を「Gemini」に統一した。
「Bard」は「Gemini」に改称され、GeminiはGoogleのAI製品を表すブランドとなった。
Geminiの製品体系
BardはGemini Ultraの投入により製品体系が二系統となった:
- 「Gemini」:従来のBardで名称を変更。「Gemini Pro」に構築される。無償版。
- 「Gemini Advanced」:新モデルで「Gemini Ultra」に構築される。有償版(月額19.99ドル)。
また、スマホ向けのアプリ「Gemini」がリリースされ、AndroidとiOSでGeminiの機能を使うことができるようになった。
Gemini Advancedとは
Gemini AdvancedはハイエンドモデルGemini Ultra 1.0に構築されるチャットボットとなる。
このモデルがOpenAIのGPT-4に対抗する製品で、生成AI市場の二強を担う。
インターフェイスは黒色をベースとし、高級感を醸しだしている(下の写真)。Bardの構成を踏襲しており、プロンプトを入力すると、モデルが回答を出力する。
Gemini Advancedを使ってみる: 推論機能に強み
Gemini Advancedは、プロンプトの指示に従って情報を出力するが、人間のプロフェッショナルのように、対話しながら問題を解決する機能が優れている。
難しいタスクをステップごとに分割し、それぞれを解決しながら、最終ゴールに到達する。例えば、映画の鑑賞会を立案する方法を尋ねると、Gemini Advancedは、イベントの基本情報や場所の好みなどを質問し、利用者と対話しながら、ステップごとに内容を議論し、最終的プランを提案する(下の写真)。
イベントコーディネータと対話しながら、結婚式のプランを立案する方式に似ている。
Gemini Advancedを使ってみる: マルチモダル機能
Gemini Advancedはマルチモダル機能が強化され、指示した内容に従ってイメージを生成する。
例えば、「GoogleのAGI発表イベントのイメージを生成」と指示すると、それを描き出す(下の写真)。イメージの品質は他社製品と比べて優れているとは言えないが、そのアーキテクチャに特徴がある。
他社は「Diffusion」という手法を使うが、Googleは言語モデル「Transformers」でテキストだけでなくイメージなどのマルチモダルをこなす。
単一のアーキテクチャで異なるモードのメディアを処理できるため、効率的なネットワークを構成できる。
Gemini Advancedを使ってみる: 全体の印象
Gemini Advancedを使い始めたが、Geminiの特徴を継承し、この機能が一段と強化されたとの印象を受ける。
Geminiは、難しいコンセプトを分解して、モジュールごとに分かりやすく説明するアプローチを取る。学校の先生が生徒に、複雑な内容をステップごとに分け、それぞれを分かりやすく説明する方式に似ている。
例えば、アメリカンフットボールで「サンフランシスコ フォーティナイナーズの攻撃の戦略と手法」を尋ねると、Gemini Advancedは、ヘッドコーチの攻撃に関する思想や、主要選手の役割など、多角的に体系立てて説明する(下の写真)。
Gemini Advancedを使うと、難しい事柄を理解する時間が大幅に短縮されると感じる。
価格体系
GeminiはBardの後継モデルとして無償で提供されるが、Gemini Advancedは有償モデルとなる。
Gemini Advancedは、ストレージサービス「Google One」の中の「AI Premium」に含まれ、サブスクリプションは月額19.99ドルとなる(下の写真、右端)。AI Premiumには、Gemini Advancedの他にGmailなどのアシスタント機能が含まれる。
この機能は「Duet AI」と呼ばれていたが、今回の発表で「Gemini」のブランドに統一された。
Gemini UltraとGPT-4の二強時代
Gemini AdvancedはGoogleのフラッグシップモデルで、OpenAIのGPT-4と互角の性能を提供する。
GPT-4がリリースされ約一年が経過するが、GoogleがUltraを公開し、トップに追い付いた形となる。
GPT-4は生成AI市場で独走してきたが、手ごわい競合相手が登場し、AI市場は二強時代に突入した