[No.100]NVIDIAは生成型AIを開発するためクラウド「AI Foundations」を投入、倫理的なAIモデルを開発し安全なテキストとイメージを生成する

NVIDIAのCEOのJensen Huangは、開発者会議「GTC 2023」で、AIの最新技術を発表した。

これは「AI Foundations」と呼ばれ、生成型AIを開発するためのフレームワークとなる。

AI Foundationsはテキストとイメージを生成するAIモデルを提供し、企業はこれをベースに、業務に適した倫理的なAIを開発できる。(下の写真、開発した生成型AIで生成したテキストとイメージ。)

出典: NVIDIA

AI Foundationsの概要

生成型AIでイノベーションが生まれ、市場にはテキストを生成するAIや、イメージを生成するAIが相次いで投入されている。

多くの企業がこれらのAIを使っているが、アルゴリズムは有害なテキストやイメージを生成し、重大な社会問題となっている。

このため、NVIDIAは企業が独自の方式で生成型AIを開発できる環境「AI Foundations」を投入した。

企業はこのフレームワークを使い、安全で倫理的なテキストやイメージを生成でき、生成型AIをビジネスで本格的に活用できる道筋がついた。

AI Foundationsの構造

AI Foundationsは生成型AIを開発するための環境であり、三つのモジュールから構成される:

  • NeMo:言葉を生成するモデル。安全で業務のスキルを実装したAIモデルを生成。
  • Picasso:イメージを生成するモデル。著作権に準拠した倫理的なAIモデルを生成。
  • BioNeMo:分子イメージを生成するモデル。新薬開発向けに分子の3D構造を生成。

NeMo:テキスト生成モデル

NeMoはテキストを生成するAIを開発するフレームワークで、生成したAIは安全でかつ業務のスキルを実装したモデルとなる(下のグラフィックス)。

NeMoは主要な言語モデルを提供し、企業はこれを独自のデータで教育し、業務に特化したスキルを学習させる。

また、企業はアルゴリズムに「Guardrails(ガードレール)」と呼ばれる安全機構を組み込むことができる。

これにより、有害な表現を抑止し、安全で倫理的な文章を生成する。

出典: NVIDIA

Picasso:イメージ生成モデル

Picassoはイメージやビデオや3Dモデルを生成するAIを開発するフレームワークで、生成したAIは著作権に準拠し、安全なイメージを生成する。

Picassoは「Diffusion Model」と呼ばれるイメージ生成アルゴリズムを提供しており、企業はこのモデルを著作権に準拠したデータで教育する。

これにより、生成したAIは著作権に抵触しないイメージを生成する。また、ガードレールを組み込むことにより、ビジネスで利用できる安全なイメージを生成する。

生成したコンテンツ

Picassoで生成したAIモデルは、言葉の指示に従ってイメージを生成する。

写真で撮影したようなリアルなイメージを4Kの解像度で生成する(下の写真左側)。

また、言葉による指示に従って、AIモデルは動画(中央)や3Dモデル(右側)を生成する。

Picassoの特長は高品質なイメージを生成することに加え、AIモデルをプレ教育する過程で、ライセンスを受けたデータだけを使い、著作権に準拠したコンテンツを生成できることにある。

出典: NVIDIA

BioNeMo:分子イメージ生成モデル

BioNeMoは製薬会社向けのフレームワークで、新薬を開発するために利用される。

BioNeMoは、体内に存在する化学物質のモデル(Biomolecular Models)を生成する機能を持つ。

多くの機能を有すが、その中心はタンパク質フォールディング(Protein Folding)で、アミノ酸の配列から、その分子の3D構造を算出する。

BioNeMoはDeepMindが開発した「AlphaFold 2」を使っており、極めて高精度な3D分子構造を生成する(下の写真)。

出典: NVIDIA

Adobeとの共同開発

NVIDIAは先行ユーザと共同で製品開発を進めている。

AdobeはPicassoでイメージを生成するAIモデルを開発し、それを「Photoshop」などの製品に組み込み、クラウド「Adobe Cloud」経由で提供している(下の写真)。

Photoshopで言葉の指示によりイメージを生成できるようになった。

このケースでは、アルゴリズムを教育した写真などは出典が明らかで、著作権保護を明確にしていることが特徴となる。

出典: NVIDIA

スパコンクラウド

AI Foundationsは、生成型AIを開発し、それを運用するためのフレームワークとなる。

企業は、OpenAIなど他社のAIモデルをAPI経由で利用する代わりに、独自のAIモデルを開発し、有害なコンテンツの生成を抑止し、責任あるAIを運用することができる。

AI Foundationsは、NVIDIAのスパコンクラウド「NVIDIA DGX Cloud」(下の写真)で運用する構造となる。

DGX Cloudは最新のGPU「H100」を搭載し、スパコンの機能をクラウドで提供する。

出典: NVIDIA