[No.142]OpenAIはアップストア「GPT Store」でChatGPTアプリ「GPT」の販売を開始、企業の事務効率を劇的に改良するアプリの開発が進む
OpenAIは1月10日、GPTのアップストア「GPT Store」の運用を開始した(下の写真)。GPTとは用途に特化した専用のChatGPTで、生成AIのアプリケーションとして機能する。
Appleの「App Store」でiPhoneアプリを購入するように、GPT StoreでChatGPTアプリを利用する。多くのGPTを使ってみたが、ビジネスに役立つアプリが多く、企業はこれを導入して事業プロセスを効率化できる。
米国企業はGPTに着目しており、今年は生成AIを導入する流れが加速する。
GPTとは
GPTはカスタムバージョンのChatGPTで、独自のスキルと知識を持ち、特定分野で能力を発揮する。
GPTは用途に特化した専用のChatGPTで、生成AIのアプリケーションとして位置付けられる。OpenAIはGPTのアップストア「GPT Store」の運用を開始し、GPTの販売を開始した。
AppleのApp Storeと異なり、GPT Storeにはビジネスに役立つアプリが数多く掲載されており、利用者の中心が企業ユーザとなる。
GPTを使ってみると
GPT Storeには多くのGPTが掲載されており、その数は300万件を超える。
使い方はシンプルで、GPT StoreでGPTを選択し、それをスマホやPCで実行する仕組みとなる。GPT Storeには多彩なモデルが掲載されており、仕事や研究や開発でプロセスを効率化するツールが揃っている。
ソフトウェアツールとは異なり、GPTは生産性を劇的に向上する。企業や研究所にとって必須のツールになる。
同時に、GPT Storeに掲載されているアプリの品質には大きな幅があり、役に立たないモデルも数多く、その見極めが難しい。
Writing:文章作成で品質を向上するアプリ
GPT Storeには文章生成を効率化するための多種類のアプリが掲載されている。
ビジネスドキュメントの開発を支援するGPTが最も注目されている。「Fully SEO Optimized Article including FAQ’s」というGPTは、タイトルとキーワードを指定すると(下の写真上段)、それに沿ってブログ記事を生成する。
GPTは指示された内容に沿って、アウトラインを生成し、ドキュメントの構成を提示する(下段)。
最終的に、GPTはアウトラインに沿ってコンテンツを生成し、検索エンジンの上位に掲載される、記事を完成する(下の写真)。
多くのスタートアップ企業が同様なモデルを投入しており、生成AIアプリにとってここが主戦場となる。
Productivity:ビジネスの生産性向上アプリ
生産性向上アプリは企業が日常業務を効率化するために使われる。
「VideoGPT」というGPTは、指定された条件に沿ってビデオを生成する。企業が製品のプロモーションビデオを制作する際に利用できる。
製品の概要や利用シーンを指定し、ビジュアルとオーディオの特性を示すと(下の写真左側)、アプリがこれに沿ったビデオを生成する(右側)。プロンプトに沿ってGPTがライブラリからビデオを抽出し、これを組み合わせて最終コンテンツを生成する。
ChatGPTがビデオを生成しているのではなく、プロンプトに従ってクリップを組み合わせてビデオを完成する。
Research & Analysis:研究や解析のためのツール
研究者のためのGPTが開発されている。
これらの多くは、公開された学術論文を参照し、科学に裏付けられた回答を導き出す。「ScholarAI」というGPTは、科学技術に関し仮定を設定し、それを過去の論文を参照して検証する。
例えば、「ロボット手術でVR技術の役割を検証せよ」と指示すると、過去の論文「医師の教育でVR技術が有効である」を参照して、評価レポートを制作する(下の写真)。
Programming:コーディング支援アプリ
コーディング技術はもはや不要で言葉でプログラムを作成できる。
これは「Prompt-Gramming」と呼ばれ、プロンプトでプログラムの内容を指示すると、GPTがそれに合ったコードを生成する。「DesignerGPT」というGPTは、ホームページを生成するアプリで、プロンプトに従って(下の写真左側)、ウェブページを生成する(右側)。
プロンプトでホームページの構成やイメージを指示すると、それに沿ったHTMLを生成する。
DALL·E:イメージ生成アプリ
DALL·EとはOpenAIが開発したモデルで、言葉の指示に従ってイメージを生成する。
GPT-4とは異なり、ディフュージョン(拡散、Diffusion)という技法で、極めてリアルなイメージを生成する。人気のジャンルで、ここにイメージを生成するGPTが掲載されている。
その中で「Super Describe」というGPTは、入力された写真(下の写真左側)を、独自のスタイルでその複製(右側)を生成する。企業がオリジナル作品から、その派生イメージを生成する際に利用できる。
一方、派生イメージがオリジナルの著作権を侵害しないなど、合法的な利用法が求められる。
企業向けのGPT
企業はGPTで業務を効率化するためのアプリを簡単に開発できる。
開発したGPTは外部に公開することなく、社内で安全に利用できる。OpenAIはGPTの利用シーンを示しており、企業は”人事GPT”を開発し、GPTが福利厚生に関する質問に回答するなどの利用法がある。
「HR Helper」というGPTは、健康保険の掛け金に関する質問に回答する(下の写真)。人事規定は企業ごとに異なるが、社内ルールを反映したGPTを簡単に作成して運用できる。
昨年は、ChatGPTの技術評価が進んだが、今年は生成AIをビジネスに適用する流れが本格化する。