[No.43] これはもうNFTバブル!!デジタルアートに常識外の高値が付く、セレブが競って購入し市場は危険水域に
米国でNFT取引がブームを通り越しバブルとなっている。
NFTとは、デジタルアセットの所有権を示す証文で、これによりデジタルアートやアバターなどを売買するビジネスが生まれた。
しかし今では、価値があるとは思えないデジタルアートをセレブがこぞって購入し、これにより価格が高騰し、市場が危険な水域に入った。
退屈したサル
サルをモチーフにした「Bored Ape Yacht Club」(上の写真)が破格の値段で取引されている。
これはデジタルアートのコレクションで、「ヨットクラブの退屈したサル」というテーマとなっている。
1万種類のサルが生成され、それらがNFTとして売買されている。
これらの作品は1点が140 ETH (約5200万円)で、常識外の値動きとなっている。
セレブがNFTを購入
何の変哲もないデジタルアートになぜ破格の値段が付くのか議論を呼んでいる。
理由の一つが、著名人の影響で、セレブが競ってNFTを購入しているという事情がある(下の写真)。
有名モデルParis Hilton(左側の人物)と、トーク番組司会者Jimmy Fallon(右側の人物)は、相次いでBored Ape Yacht Clubを購買した。両者はトークショーで、NFTをプリントアウトしたものを示し、一躍、Bored Ape Yacht Clubの名前が全米に広がった。
このようなセレブの“PR活動が”NFT人気を押し上げている。
何のために購入するか
Jimmy Fallonは購入したデジタルアートをTwitterのプロフィール写真として使っている(上の写真、左上のアバター)。
NFTを本人を表すアバターとして使っている。
高額なNFTをアバターとして使うのは、レアな作品を所有していることを誇示する目的がある。しかし、最終目的は投資のリターンで、NFTを転売して利益を得ることにあるといわれている。
このためプロフィールを“広告塔”として利用し、価格を吊り上げているとの解釈もある。
トランザクションの内容が分かる
Jimmy Fallonが購入したアートは作品番号「#599」(下の写真)で、2021年11月7日に46.6 ETH (当日のレートで約$216,000=約2500万円)で落札している。
NFT収集家「collector936」から購入している。このNFTはブロックチェーン「Ethereum」で生成されており、過去のトランザクションすべてが「Block」と呼ばれるデータベースに記録されている。
このBlockは公開情報で、誰でもこれを見ることができ、購買に関する全ての情報が分かる。これがブロックチェーンの特徴で、Jimmy Fallonが落札した価格や購入先などを知ることができる。
NFT価格の推移
セレブが競ってNFTを購入している。Jimmy Fallonの他に、ラップ歌手Eminemやバスケットボール選手Steph CurryがBored Ape Yacht Clubを購入した。
これらがニュースで報道され、NFTの人気が高まり、価格が上昇している。
Bored Ape Yacht Clubの取引価格の推移を見ると(下の写真、折れ線グラフ)、2021年11月ころから価格が上昇に転じていることが分かる。
Bored Ape Yacht Clubとは
Bored Ape Yacht ClubはYuga Labsという団体により開発されたNFTであり、ヨットクラブに属する退屈したサルというストーリーになっている(下の写真)。
デジタルアートはプログラムで生成されたもので、170の特徴量を変化させ、1万種類のサルのイメージを生み出した。
NFTはEthereumで生成されるトークンで、「ERC-721」という規格に準拠し、データは分散ファイルシステムに格納される。
NFTの危険性と将来性
デジタルアートの価値の評価は難しいが、特定のNFT価格が常識外の値動きを示している。
また、デジタルアートを盗み、それをNFTに変換した模造品の販売が広がり、深刻な問題となっている。
また、メタバースで、土地というデジタルアセットの購入が進み、不動産ブームが起こっている。
米国において、メタバースで危険な投資が広がり、NFTという新しいビジネスモデルが試されている。