[No.197]OpenAIは次世代モデル「GPT-5」の概要を発表、言語モデルと推論モデルを統合し「Unified Intelligence」を構成する
OpenAIのSam Altmanは次期製品「GPT-4.5」と「GPT-5」についてロードマップを公表した。
GPT-4.5はGPT-4シリーズの最新モデルで、言語モデルとしての最後の製品となる。GPT-5は次世代モデルで、言語モデルと推論モデルを統合したUnified Intelligence(統合インテリジェンス)を構成する。
OpenAIは推論モデルとして「o3」を開発しているが、このモデルはGPT-5に組み込まれ、単独製品として出荷する計画は中止された。リリース時期は、GPT-4.5は数週間後で、GPT-5は数か月後となる、と解釈されるコメントを公表した。

GPT-4.5:言語モデル最後の製品
GPT-4.5は「Orion」というコードネームで開発され、言語モデルの最後の製品となる。
GPT-4.5は「Chain-of-Thoughts (CoT)」と呼ばれる推論機能を搭載しておらず、GPT-4シリーズの最後のモデルとなる。OpenAIは推論モデルについては、「o1」と「o3 mini」を公開しており、言語モデルと推論モデルの二つの製品ラインを運用している。
GPT-4.5のリリース時期は数週間後と解釈される。
GPT-5:統合インテリジェンス
GPT-5は言語モデルと推論モデルを統合した「Unified Intelligence」(統合インテリジェンス)というシステム構成となる。
推論モデルの最新版「o3」がGPT-5に統合され、o3は単独製品として出荷する計画は中止された。OpenAIは統合インテリジェンスを生成する理由として、製品ラインが増え、利用者がモデルの選択で混乱しており、インターフェイスをシンプルにするためと説明している。
現在は、GPT-4oを中心に、四つの言語モデルと三つの推論モデルが運用され(下の写真)、タスクに対しどのモデルを選択すべきか利用者の間で混乱が広がっている。GPT-5では製品ラインが一つに集約され、入力されたプロンプトに対し、システムが自動で最適なモジュールを選択する仕組みとなる。

言語モデルと推論モデルの選択
OpenAIは言語モデル「GPT-4シリーズ」と推論モデル「oシリーズ」を運用しているが、モデルの選択基準については明確なルールを公表していない。
一般に、言語モデルは言葉を処理するためのシステムで、文章の生成、記事の要約、質疑応答などに適している。一方、推論モデルは演繹的な考察や数学における推論や意思決定などの機能を持ち、難解な問題を解くために使われる。
具体的には、数学の問題の解法、プログラムのコーディング、科学や医療データの解析などに使われる。また、最近ではAIエージェントのコア技術として実装され、複雑なタスクを完遂するための計画立案や意思決定のために威力を発揮すると期待されている。
GPT-5のシステム概要 (推定)
OpenAIはGPT-5のシステム構成などについては公表していないが、ソーシャルメディアで研究者グループがモデルの構造について意見を交わしている。
これらを集約すると、GPT-5の構造が浮かび上がる。GPT-5の規模(パラメータ数)は52兆個で、GPT-4の1.76兆個の約30倍の規模となる。また、GPT-5はMoE(Mixture of Experts)というアーキテクチャを取り、200ユニットの エキスパートから構成される。
OpenAIは、GPT-4は高校生レベルの知能を持つが、GPT-5は博士課程修了者レベルと説明している。GPT-5は巨大なシステムで、200の専用モデルから構成され、インテリジェンスが劇的に進化する。

スーパーボウルで広告ビデオ放映
OpenAIは、ChatGPTが科学技術の進化における最新のブレークスルーであるとして、スーパーボウルでビデオ公告を放映した。
スーパーボウルはアメリカン・フットボールの決勝戦で、米国における最大のスポーツイベントとなる。今年はカンザスシティ・チーフスとフィラデルフィア・イーグルスが対戦し、イーグルスが大勝した。
ビデオ公告は「Sora」で制作され、テクノロジーの遷移を白黒のピクセルで表現している(下の写真)。歴史を遡ると、人類は火の使用を始め、車輪を生み出し、馬による輸送が始まり、近年では、宇宙探査を始め、高度な半導体を開発した。
これに続きChatGPTを開発し、人類の歴史を変える技術革新の最新事例であるというストーリーとなっている。

Intelligence Age
OpenAIは高度なAIモデル「Artificial General Intelligence(AGI)」を開発することをミッションとしており、GPT-5はこれに向けた大きなステップとなる。
蒸気機関を原動力とする機械制工場が出現し、これが英国における産業革命をもたらした。AGIによる高度なインテリジェンスが生まれることで、新しい可能性が生まれ、社会の生産性が向上する。
Altmanはこの時代を「Intelligence Age」と命名し、インテリジェンスの機能が向上し、コストが激減し、社会がこれをふんだんに使える時代となると予測する。
スーパーボウルでの広告ビデオは、OpenAIがこれに向かって開発を進めており、社会に役立つシステムを生み出すために尽力しているので、会社を信頼してほしい、とのメッセージが込められている。