[No.193]OpenAIはAI開発のブループリントを公開、米国がAI開発でリードするためにはインフラの整備が必須、独裁国家がAI開発を制することの危険性を指摘
OpenAIは今週、AI開発の計画書「Economic Blueprint」を公開した。これは米国がAI開発を推進するためのブループリントで、業界や政界に向けて様々な提言をしている。
ブループリントは、米国がAI開発を主導することで、技術の恩恵を享受できるだけでなく、国家安全保障を強固にし、経済発展に寄与するとしている。特に、独裁国家(中国)がAI開発を制することの危険性を指摘し、米国が同盟国と共にAI開発をリードするための施策を提唱している。
高度なAIを開発するためには、データセンタや半導体製造施設や発電所の整備が必須であるとして、国外からの投資に関する規制を緩和するよう求めている。
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ブループリントの概要
OpenAIは、AIの機能が急進する中、米国は技術の可能性を最大限にし、そのリスクを最小限にする必要があると述べている。
特に、独裁国家が高度なAIの開発を主導すると、世界に重大なリスクをもたらすが、いまAI競争はこの方向に向かっている。また、AIによる大きな経済成長が見込まれ、米国はAI開発を主導すべきとしている。
このためには、AI開発のインフラ整備が喫緊の課題で、データセンタ、半導体製造施設、発電所の整備が課題となる。
インフラ整備には巨大な資金が必要になるが、グローバルな投資ファンドは1,750億ドルあり、米国政府はこの投資を認めるよう求めている。
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提言の骨子
提言は三つのパートから構成され、開発競争と安全保障、AI規制、インフラ整備で、それらの具体的な内容は:
- 開発競争と安全保障:国家安全保障の観点から米国がAI開発で世界をリードするための提言が示されている。特に、高度なモデルを開発した後で、それを運用する際の注意事項が示されている。高度なモデルが敵対国にわたり、それが悪用されるリスクを低減することが必須となる。
- AI規制:AI規制では、AIで生成した画像の安全性を担保するよう提言している。特に、児童ポルノ(child sexual abuse material/child sexual exploitation material (CSAM/CSEM))が重大な問題で、これを規制する必要がある。また、AIで生成したイメージやビデオにはその出典を付加するメカニズムの導入を求めている。
- インフラ整備:データセンタなどの整備に加え、公共のデータをAI開発で利用できる仕組みを導入すべきとしている。また、政府が保有している大量のアナログデータをデジタル化し、それを公開することを提言している。また、AI特区「AI Economic Zones」を設け、AI関連施設の建設にかかる認可をスピードアップすることを要請している。
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AI規制のビジョン
OpenAIは政府のAI規制方針について言及しており、国民を守るため常識に沿ったルールの制定が必要であるとしている。
同時に、規制と開発のバランスを取り、AIへの投資や競争を促すことを求めている。また、AI規制は各州が独自に実施するのではなく、連邦政府が立法化し、全米で統一したルールを制定することを求めている。
一方で、州政府はAI技術の実験場としての役割を担い、州の特性を生かしたAIソリューションを展開する。
例えば、カンサス州はAIを農業に適用し、農業ソリューションのハブとなる。
同盟国との連携
フロンティアモデルを米国の同盟国と共有し、域内の経済の興隆に寄与すべきとしている。
半導体プロセッサの輸出を制限しているように、フロンティアモデルも同盟国への輸出は認めるが、敵対国への輸出は制限すべきとしている。フロンティアモデルが敵対国の手にわたると、これが悪用され、重大な被害が予想される。
また、モデルのIPが盗用されると、敵対国で技術開発が進むことが懸念される。
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トランプ政権への提言
OpenAIはブループリントを業界や政府関係者を対象に、AIの技術開発を促進するためのアクションを提言している。
来週からトランプ第二次政権が発足するが、新政権にAI開発を後押しすることを求めた形となっている。特に、AI規制に関してはイノベーション促進とのバランスを考慮して、常識あるルールの設定を求めている。
インフラ整備に関しては、外国からの投資の規制を緩和し、サウディアラビアなどからの資金を呼び込むことを意図している。
巨大テック各社は既に、トランプ新大統領と面会し、個別にディールを結んでいる。
OpenAIはブループリントを公開し、新政権との関係構築を急いでいる。