NVIDIA発信のニュースレター「NVIDIA GTC 2023 まとめ」を一部抜粋してご紹介します。

GTC 2023 は、3 月21日 - 24日にオンラインで開催され、全体の登録数は31万人以上、そのうち日本からは1万人を超える登録数。
650以上のセッションやワークショップが行われました。

創業者/CEOのジェンスン フアン氏が基調講演で発表した主要なニュースやセッションハイライト、注目の講演についてご紹介します。

下記より関連ニュースやブログへのリンク、各講演へリンクできます。

★GTC2023に参加登録をしている方は、2023年4月10日までオンデマンド配信が視聴可能でしたが、その後は、NVIDIA開発者プログラムメンバーに登録すると、NVIDIA On-Demand で視聴することができます。

NVIDIA GTC 2023 フォローアップウェビナー

4月20日(木)15:00 - 17:00 オンライン開催

主 催:エヌビディア合同会社
参加費:無料 / 事前登録制

GTC2023での主要な発表内容について、NVIDIA日本法人の専門家が改めて詳細に紹介するセミナーです。
下記に掲載の情報をわかりやすく解説されると思いますので、本ウェビナーもご活用ください。

詳細・お申し込みはこちら→ https://info.nvidia.com/jp-gtc23-followup

基調講演

3月22日午前0時に配信された基調講演でNVIDIA CEO ジェンスン フアン氏は、現在の3つのキーワードである「持続可能性」、「ジェネレーティブAI」、「デジタル化」へ取り組むため、アクセラレーテッド コンピューティングとAIが強力なツールと説明。

新しいチップとシステム、高速化ライブラリ、クラウドAIサービスなどのNVIDIAのデータセンター規模のフルスタックアクセラレーテッド コンピューティング プラットフォームの新しい進化を紹介しました。

 <発表内容>

持続可能性、ジェネレーティブ AI 、デジタル化

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これまでの約40年間、ムーアの法則はコンピュータ産業を動かし、あらゆる産業に影響を与えてきました。

ムーアの法則がなくなりコンピューティングが急増する中、データセンターの電力が急上昇し、企業はネットゼロの達成に苦労しています。

ジェネレーティブ AI の登場によって、企業は競ってデジタル化を進めソフトウエア主導のテクノロジー企業へ生まれ変わろうとしています。

NVIDIA では新しいチップとシステム、高速ライブラリ、クラウドと AI サービスやパートナーシップを通じ、これらの課題解決をサポートしています。

持続可能性では、CPUサーバーと比較し9分の1のコスト、17分の1のエネルギー消費を実現したCadenceの事例などをご紹介しました。

ジェネレーティブ AI を世界中の企業へ
大規模言語モデルおよびビジュアル モデルを作成するためのクラウドサービス

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企業によるジェネレーティブ AI の採用を加速させるため、一連のクラウド サービスを発表。

これにより企業は、独自のデータでトレーニングされ、ドメイン固有のタスクに向けたカスタムの大規模言語モデルとジェネレーティブ AI モデルを構築、改良、および運用できるようになります。

Getty Images、Morningstar、Quantiphi、Shutterstock などの企業が言語、画像、ビデオ、3Dにまたがる新しいNVIDIA AI Foundationsモデル作成サービスで構築されているAIモデル、アプリケーション、サービスを作成および使用します。

企業は、NVIDIA NeMo 言語サービスと NVIDIA Picasso 画像、ビデオ、および3Dサービスを使用して、インテリジェントなチャットとカスタマーサポート、プロフェッショナルなコンテンツ制作、デジタル シミュレーションなどのための独自のドメイン固有のジェネレーティブAIアプリケーションを構築できます。
生物学向けのNVIDIA BioNeMo クラウド サービスの新しいモデルも発表しました。
(詳細情報へのリンクはこちら

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大規模言語モデルとジェネレーティブ AI のワークロードに向けた推論プラットフォーム

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急速に台頭しつつある多様なジェネレーティブ AI プラットフォームを発表。これらのプラットフォームは、この度発表された「NVIDIA L4 Tensor コア GPU」 と 「NVIDIA H100 NVL GPU」 を含む最新の NVIDIA Ada、NVIDIA Hopper および NVIDIA Grace Hopper プロセッサと、NVIDIA のフルスタックの推論ソフトウェアを組み合わせています。

各プラットフォームは、AIビデオ、画像生成、大規模言語モデルの展開、レコメンダーの推論など、需要の高いワークロード向けに最適化されています。
(詳細情報へのリンクはこちら

NVIDIA DGX Cloud AI スーパーコンピューターにブラウザから即座にアクセス可能に

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DGX Cloudは、NVIDIA AI ソフトウェアと組み合わせたNVIDIA DGX AI スーパーコンピューティングの専用クラスターを提供します。

このサービスにより、シンプルにウェブブラウザを使用してAIスーパーコンピュータにアクセスできるようになり、オンプレミスのインフラを取得、展開、管理する複雑さが解消されます。
(詳細情報へのリンクはこちら

Oracle Cloud Infrastructure が NVIDIA BlueField データセンターアクセラレーション プラットフォームを採用

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NVIDIA は Oracle Cloud Infrastructure (OCI) が NVIDIA BlueField-3 DPU をネットワーク スタックへの最新の追加機能として採用したことを発表しました。

これにより、OCIの顧客には、CPUからデータセンター タスクをオフロードするための強力な新しい選択肢が提供されます。

BlueField-3 は NVIDIA の第3世代のデータ プロセッシング ユニットであり、企業がクラウドからデータ センター、エッジに至るまで、ソフトウェア デファインドで、ハードウェアで高速化された IT インフラストラクチャを構築可能にします。インフラストラクチャのワークロードをオフロード、高速化、分離することで、データセンターのパフォーマンス、効率、およびセキュリティを向上させ、高価な CPU コアを解放してビジネス アプリケーションを実行することができます。

OCI は、クラウドまたはオンプレミスでアプリケーションやサービスを構築および実行するために、幅広いクラウド インフラストラクチャおよびプラットフォームサービスを顧客に提供しています。OCI は、BlueField-3 を利用することで、データセンターのインフラストラクチャタスクを CPU からオフロードするという長年にわたって確率されたアプローチを拡張しています。(発表の詳細はこちら

DPU はまた、CPU から負荷の高いインフラにかかる処理をオフロードし、効率よく処理することで電力効率を大幅に向上させることが可能です。
こちらのブログも併せて御覧ください。

Omniverse Cloud × Azure で進む PaaS BMWデモにみる最新メタバース導入

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BMW Group での産業メタバースが新たな局面に、全世界の製造ラインでのデジタルツイン導入が発表されました。
基調講演では Microsoft Azure で動作する NVIDIA Omniverse により、BMW デブレツェンの EV 工場のメンバーにジェンスン フアンも参加し、Teams と Omniverse によるコラボレーション デモを披露しました。

Microsoft Azure は最初のグローバルクラウドサービスプロバイダとなり、Omniverse Cloud の PaaS (Platform as a Service) を支え、自動車メーカーのでデジタライゼーションを次の段階に進めます。

Omniverse のメジャーアップデートでは、新たに3D地図モデルのCesium、日本からの要望も多かったゲーム エンジン Unity とのコネクタを用意し、エコシステムをさらに強化。次世代の映像制作を支える disguise との連携も強化しました。

Omniverse Enterprise を使う大規模なデジタルツイン構築を支える OVXは、最新の L40 を 4基搭載する OVX 3.0 に進化、OVX SuperPOD がスケールアップを可能にします。

スモールフォーム、ノートからデータセンターまで広がる Ada 世代 GPU

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Ada Lovelace アーキテクチャ搭載 GPU がさらに拡大、コンパクト筐体に搭載可能な RTX 4000 SFF Ada 世代、ノート PC 向けの RTX Ada Laptop GPU ラインアップ、さらにデータセンター向け L4 Tensor コア GPU をリリースしました。

第 3 世代 RT コア、第 4 世代 Tensor コアと DLSS 3 対応により、Omniverse での産業メタバース、リアルタイム レンダリング、AI 開発、データサイエンスに加えて、強化された NVENC/NVDEC エンジンにより放送ストリーミングにも新たな可能性を発揮します。

是非、Ada 世代の卓越したパフォーマンスをデスクサイド、データセンター、あらゆる環境でお試しください。

新しい時代を切り開くアクセラレーションライブラリを更新

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レイトレーシングとニューラル レンダリング、物理、地球、生命科学、量子物理学、化学、コンピュータビジョン、データ処理、機械学習、AI にまたがる 300 のアクセラレーションライブラリと 400 の AI モデルのうち今年 100 を更新。

CFD 等を高速化しコストとエネルギー消費を大幅に削減する CUDA をはじめ、NVIDIA Quantum プラットフォーム、Spark-RAPIDS、RAFT、cuOpt、TensorRT、NVIDIA Triton、Triton Management Service、CV-CUDA、VPF、NVIDIA Parabricks、NVIDIA Holoscan、cuLitho などをご活用ください。

注目セッション

OpenAI 共同創業者との対談 GPT-4、ChatGPT と AI の未来

AI のパイオニアで OpenAI 共同創業者/チーフサイエンティスト Ilya Sutskever とジェンスン フアン氏が、AI のこれまでと、ChatGPT、GPT-4 に至る道のり、そして AI のこれからについて対談しました。

収録が OpenAI による GPT-4 公開の翌日に実施されたこともあり、ChatGPT と GPT-4 の違いに加え、OpenAI が GPT-4 を 2 レベルで学習させることで信頼性や精度を高めたなど llya 自身が紹介。

あまりにも有名な 2012 年の AlexNet に至るまでの取り組みや、その後の GPT、ChatGPT への取り組みを振り返り、さらに今後への来たいについても紹介しています。

GPUコラム「シリコンバレー New Tech Report」でもこちらの対談の内容を紹介しています。

[No.101]GPT-4とChatGPTの開発手法の秘密が明らかになる、最大の課題は信頼できるAIモデルの開発、Nvidia開発者会議におけるOpenAIとの対談から

セッション名:[S52092] Fireside Chat with Ilya Sutskever and Jensen Huang: AI Today and Vision of the Future

三井住友と NIVIDIA、日本の創薬を変革するためのスーパーコンピューター、Tokyo-1 を発表

NVIDIAは、三井物産株式会社と協業し、高解像度分子動力学シミュレーションやジェネレーティブ AI モデルなど、創薬を加速するテクノロジで日本の製薬業界をさらに発展させるためのイニシアチブである Tokyo-1 を推進することを発表しました。
(ブログへのリンクはこちら

Japan AI Day でも、Tokyo-1 の説明および製薬会社様とのパネルディスカッションが開催されました。
セッション名:[SE52436] 2023年ついに始動。日本の製薬業界を変革するデータ駆動型創薬の次世代プロジェクト

NVIDIA Deep Learning Institute、講師によるワークショップを日本語で開催

GTC では恒例の NVIDIA Deep Learning Institute (DLI) 講師によるワークショップが開催され、90 名近くの方が参加されました。

今回は世界人気 No.1 の初級者向けコースである「ディープラーニングの基礎」と、日本語版として初公開の「 Transformer ベース自然言語処理アプリケーション構築」の 2 つのコースを開催。

「ディープラーニングの基礎」は、はじめてディープラーニングを学ぶエンジニアや学生を対象にしたコースです。
本コースではコンピュータービジョンと自然言語処理の実習を通して、ディープラーニングがどのように機能するのかを学ぶことができます。

「 Transformer ベースの自然言語処理アプリケーション構築」は、自然言語処理モデルを、文書分類などに使用する方法を学ぶ応用的なコースです。

日本からの注目セッション (SUBARU、FUJIKURA、NEC 他多数のセッション)

[S51087] SUBARU によるセッション
Improving Road Safety with AI-Based Stereo Camera Object Detection

SUBARU はアイサイトに AI を導入し、独自技術であるステレオカメラと組み合わせたより精度の高い物体検出や、AI の推論などを用いた経路の認識を開発しています。大量の学習データを処理するためには、オンプレとクラウドを併用した GPU での学習を行っています。本セッションでは、ステレオカメラの認識が AI でどのように進化をするかその開発事例を紹介いたします。

[S51112] NEC によるセッション
How to Design an AI Supercomputer for Fast Distributed Training, and i ts Use Cases

NEC 北野様が、3月待つに稼働開始した国内企業で最大規模の NEC 研究用 AI スパコンについてご紹介。NVIDIA A100 Tensor コア GPU を 928 基搭載した AI スパコンにより、先進 AI の競争優位性を強化します。

[S51090] フジクラによるセッション
Practical Use Case of Reinforcement Learning and Sim-to-Real Transfer for Manufacturing

フジクラは、実際の製造装置の一部の制御に、人工知能(以下AI)の一種である深層強化学習を実装する概念検証を行い、その有効性を確認しました。この成果を、フジクラ秋山様が GTC にて発表されました。

GTC 2023 Japan AI Day 注目セッション

GTC 2023 において、日本のお客様向けスペシャルイベント「Japan AI Day」を GTC 最終日の 3 月 24 日に開催。

「Japan AI Day」では、国内の各産業における DX 推進や AI 研究開発を加速させる技術やソリューションをご紹介いただきました。
実務に即したトランスフォーメーションにお役立ていただける「ビジネス向けトラック」と、研究/開発にお役立ていただける「開発者向けトラック」にて、それぞれ複数のセッションを実施。

[SE52306]
徹底討論!日本の DX 現状と取るべきアクション ― AI 活用の極意とは

IMD (国際経営開発研究所)が発表したデジタル競争力に関する国際指標「デジタル競争力ランキング 2022 」では、日本は63カ国中29位と過去最低となり、欧米諸国だけでなく韓国や台湾をはじめとするアジア諸国にも大きく後塵を拝しています。
今やデジタル技術でビジネス変革を如何に実現できるかが企業の競争力に大きく関わる中、日本の国力低下にもつながる喫緊の課題だと言えるでしょう。当セッションでは、DX や AI 技術に関する有識者とともに、日本のDX推進の現状を確認しながら、このような結果を引き起こしている真因、その解決策、DX の要となる AI 技術の動向について議論します。

[SE52406]
NVIDIA H100 を搭載した最新スーパーコンピュータ Pegasus が拓く HPC&AI
筑波大学 朴 泰祐 先生

筑波大学計算科学研究センターでは最新の NVIDIA H100 GPU を搭載した新スーパーコンピュータ Pegasus の運用を 2023 年 1 月より開始した。
同システムは 120 台の計算ノードに同 GPU の他、Intel Sapphire Rapids CPU、Intel Optane persistent memory、NVIDIA NDR200 InfiniBand など、HPC と AI 研究を加速する最新鋭のパーツで構築している。
超高速 GPU による HPC と Tensor コアによる AI 処理、それらの組み合わせは AI for HPC 研究などの新しい形の計算科学を推進すると期待される。本講演では、Pegasus の概要とアプリケーションの展望について述べる。

★他にも 14 の日本語注目セッションがあります。

GTC に参加登録した方限定で、2023 年 4 月 10 日までオンデマンド コンテンツ(Japan AI Day を含む全ての GTC セッション)にアクセスできますので、ぜひご覧ください。